家を建て、一部始終をコミックエッセイに描く漫画家も珍しくなくなってきた。
しかし、今回作者の山下サンが建てるのは、 ただの家ではない。数奇屋なのだ。そして、「山下和美数寄者(すきしゃ)計画」が発動する一。
山下サンはマンション暮らしだったけれど、リフォーム工事でマンション全体を揺らしたり、飼い猫のいたずらで下の階を水浸しにしたりしたこともあり、一軒家を建てることに。
そし て、どうせなら、と和の生活へダイブする決心をした。
若き建築家との出会いをきっかけに、茶室をベースとした数奇屋作りの家を建てる。
お寺の庭を借景とし、家は木を選ぶところから始めて、電灯も和紙で柔らかく覆う。
おかしかったのは、いざ家の工事が始まってからの話で、地鎮祭が物珍しかったり、大工さんのおやつをどうするか悩んだりしてたこと。
これ、 同じ漫画家の伊藤理佐さんも、同じところでカルチャーシヨックを受けてたなあ。
ちなみに山下サン家の地鎮祭では水晶玉を地面に埋めておりました。いろんなやり方があるもんだ。
建築中に東日本大震災があったけれど、山下サンの建築中の家は瓦から骨組まで全く問題なく、集まった大工さん同士で自慢しあってたのはさすが伝統の数奇屋作りだ。
いまどき数奇屋作りにかかわる大工さんたちは宮大工のようなもので腕自慢ぞろいなのだろう。
家が建っても、数寄者計画は終わらない。数奇屋での暮らしぶりが描かれる。
やはり数奇屋作りの弱点は気密性のようで、冬はシンドいと正直に描かれている。
また、猫の知恵は計り知れないようで、わざわざ猫には開けられないタイプのドアの鍵に変更したにもかかわらず、奴ら(計4匹!)は突破するのであった。
猫が暴れまわると数奇屋も何もあったものではない。
それでも11月の夕方、淡い陽の光が家の中に差しこみ、障子にもみじの影がうつり、やがておぼろとなって消えていく。
陰影礼賛を地で行くような生活を堪能することは数寄者ならでは、だ。
作者はその後、表装――掛け軸づくりをやるようになったり、母から譲られた雛人形を修したりと和の生話を続けていく。
数奇屋作りでコンビを組んだ若き建築家は、その後、ビル作りに嫌気がさして会社を辞める。
数奇屋作り専門の建築事務所を立ち上げ、六本木ヒルズの中庭で、文楽の組立式檜舞台を手掛けるまでになる。この一部始終もレポートされる。
それでも、作者は数奇者のメインパート、茶道や華道や骨董、着物までには手を出せていない。
なにしろ過酷な漫画家商売なのだ。時間を捻出するのも大変だ。
でも、 それは、まだ当分は楽しめる、恐らくは死ぬまで続く愉しみなのだ、と言うこと。
山下和美数寄者計画は継続中。ぜひ続巻を望む。
現在はどこまで進んだろうか?
猫たちとの共存は? などなど。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
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