少額訴訟制度による簡易裁判では国民が安価で迅速な裁判を利用できるはずなのだが……。
作者は知人に頼まれて、オーストラリア人の代理人となって、弁護士をたてずに本人訴訟による少額訴訟裁判に立ち会った。
簡単に終わるはずの裁判は、けっきょく解決まで約2年半もかかってしまう。
なぜこんなことになってしまったのか?
全ては保険会社代理店の担当者がDQNだったせいだ。
でも問題はそれだけじゃない。
簡易裁判所と地方裁判所との間でたらい回しにされたり、最終的には高等裁判所までもつれこんだせいだ。
恐ろしいのは似たようなことが自分の身にも起こってしまいそうなことだ。
例えば、「臆病者のための裁判入門」のケースとはちょっと違うけど、何か病気や事故で保険会社から保険金を受け取ろうとした時、保険会社が出し渋った場合。
もらいそうな保険金が少額の場合は、裁判で訴えても時間と金がかかるので泣き寝入りする人が多い。
「臆病者のための裁判入門」でも法テラスの弁護士ウシジマくん(もちろん仮名)の率直すぎる言葉が書かれている。
「損保会社っていうのは保険金を払わないのが仕事なんだから」
「裁判はビジネスだ」
「相手方の対応はヒドイし怒るのも無理はないけど、万が一裁判に勝てても3万円から5万円程度じゃ引き受ける弁護士はいないよ」
などなど。
これが現実なのだ……。
もっと恐ろしいのは関係者一同はおおむね誠実で優秀だったことだ。
(だから最終的には一応の解決をみた)
担当者は確かにデタラメだったけど、代理店の上司も、損保会社の人も、法テラスの弁護士も、簡易裁判所の人も、地方裁判所の人も、高等裁判所の人も──。
その一方で、みんななるべくリスクや責任は取らないよう動く。
このために当事者は保険制度や司法制度の迷宮をさまようことになってしまうのだ。
「臆病者のための裁判入門」は2013年刊行。
もう10年たっているので、保険会社や裁判所も、ずっと良くなっているだろう。
そう思いたい──。
「臆病者のための裁判入門」は金融や進化論関係の著作が多い橘玲さんにしては異色の作品。
でも裁判ものって面白いんだと教えてくれた。
裁判ものの漫画は今までもちょこちょこ読んできた。
これからは裁判ミステリーのジャンルも開拓してみよう──。
【プロフィール】
セミリタイア済み節約系FIRE民。
健康優良寝そべり族。
家でごろごろしていたい。
街をぶらぶらしていたい。
健やかにだらだらしたい。
寝そべりながら本を読みマンガを読む。
自転車通勤を卒業して「歩く人」へ。
睡眠重視のロングスリーパー。
食事は
肉卵チーズのMEC食&メガビタミン。
料理は電子レンジ調理・時短料理。
親が遺してくれた生家に籠城中。。。