大手から中堅進学塾へ転職した講師・黒木。親からの集金をいとわない一方、分かりやすい教え方、的確な進学指導には定評がある。
しかも何やら過去の事件でトラウマを抱えているようで……。
受験漫画といえば「ドラゴン桜」が有名。
「二月の勝者」は、大学受験が中学受験になっただけではなく、子供達とその親と受験業界、この三者の本音と裏面をこれでもかというぐらいにあぶり出す。
実際、偏差値の高い大学に進学する生徒は、親が金持ちで意識が高い。
子どもの頃から進学塾に通い、中高一貫の私立に通って有名大学へ……。
大企業での年功序列は崩れたと言われてはいるけれど、受験界でのエリートコースは先鋭化してる。
このエリートコースを我が子に歩ませようとする親は大金を塾に落とす。
通常の費用に加えてマンツーマンでの個別指導に合宿。
まさに「課金ゲー」。
こんな受験戦争(死語?)に巻きこまれる子供がかわいそうだと思うけど、では、受験に縁の無い子供たちが何をやっているかと言うと、公園で集まってカードゲームをしている。
一目置かれるのは金をかけてレアカードを手に入れた子供なのだ。
大変ですね、今の小学生は。
放課後の居場所を得るのもカネ次第……
おまけに、受験に否定的な父親が出てくるエピソードがあるけど、この父親の趣味がソシャゲ。
この世には課金ゲーしかないのか?!
だったら、受験に課金するのが、一番、生産性が高い。
子供達だって、イヤイヤ受験しているわけでもなくて、敢然と競争社会に飛びこんでトップを狙う女子もいるし、算数の問題でスマートな回答を思いついたと喜びを爆発させる男子もいる。
甲子園目指して野球をやるのは青春なのに、なぜ勉強していると悪く言われるのか? てのは、ドラゴン桜にも出てくる話題だなぁ。
もちろん、黒木も抜かりはなくて、鉄ちゃんな男の子には鉄道研究部のある私立高校を、天然の女の子には自由な校風の学校を勧めるなどモチベーションを高めていく。
進学塾とは合格するための情報を売るサービス業なのだ。
読んでると、ここまでやらなきゃならんのか、子供だけじゃなくて、親も塾の講師も……と圧倒される。
しかし、大学受験と中学受験の大きく違うところは、子供はメンタルがとても弱いってとこ。
友達同士でイジメがあったり、親子でケンカしたりすると一気に成績が下がってしまう。
だから、親・子・塾が三位一体でのぞまなければならないのだ。
今回は10巻まで読んだ。
最新巻は12巻――。
ここまでやって、もし不合格だったら、子供は、親は、どうなってしまうんだろう?
メンタル崩壊するんじゃなかろうか……。
それぐらいの狂気を感じさせる。
最終巻が出たら最初から一気読みしたい。
続きを読むのが楽しみだけど、ちょっと怖い。
胸をザワつかせる問題作だ。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
・食事は、たんぱく質ファースト。糖質制限中。MEC食継続中。ボトル飲みでプロテイン&メガビタミン
・電子レンジの時短料理で自炊中
・服は制服化&コンフォート命!
・断捨離後、ミニマリストに
・歴史と地理とニュースの社会科好き!
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
・古武術介護
・小笠原流礼法