オスのカマキリは交尾中にメスのカマキリに食べられてしまうというエピソードはよく知られている。
でも生物や動物の世界では、もっと残酷なことが普通に行われている。
でもそれは生物たちが一生懸命生きている証なのだ。
ちなみにカマキリの交尾の話――。
オスのカマキリは毎回必ず食べられるわけでもなくて、5回に1回くらいの割合だと言う。
しかもオスは交尾のためにメスの背中に乗ると約4時間ほど乗っかりぱなしと言う。
まあ、どっちもどっちか……。
この漫画を読んだきっかけは、小説の「ザリガニの鳴くところ」を読んだことだった。
「ザリガニの鳴くところ」は、ミステリーであり、薄幸の少女物語であり、サバイバルものでもあり、独学者の話でもあり、青春小説でもあり、法廷サスペンスでもあるフルコースのような小説だ。
主人公である「湿地の少女」カイアは、湿地の生物を研究して学術本も出版してしまう野生と知性を併せ持った魅力的な女性。
彼女に大きな影響を与えたのが、動物たちの野生の振る舞いだ。
タイトルの「ザリガニの鳴くところ」は「生物が生物として自由に振る舞える場所」を指す。
動物行動学者でもある作者は、たびたび「美と醜、優しさと残酷さを併せもつ野生」についてのエピソードを物語に挿入する。
子を捨ててしまう母キツネ、傷を負った仲間にいっせいに襲いかかる七面鳥、偽りの愛のメッセージを送るホタル、交尾相手をむさぼり食うカマキリ……。
そしてグロテスクなイメージが、その後に起きる事件を予感させていくのだ。
この「ザリガニの鳴くところ」は大変おもしろい小説というだけでなく、動物行動学というジャンルのおもしろさも教えてくれる。
確かに「ざんこく探偵の生きもの事件簿」を読んでみると、動物たちの残酷な行動、子が親を食べ、弱いものが強いものに寄生するなどは、人間的な常識から見ると、とても醜悪だ。
しかしその一方で、動物たちはただ一生懸命生きているだけなのだ、ということも教えてくれる。
「ザリガニの鳴くところ」から引用すると――。
ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ
と言うことになる。
動物行動学はおもしろい。
少なくとも「ザリガニの鳴くところ」を読んでおもしろいと思った人は、「ざんこく探偵の生きもの事件簿」も読んでみると良い。
漫画で読みやすいし、入門書としては最適解。
きっと気に入ると思う――。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
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