今回紹介するコミックエッセイはイタリア在住の日本人女性漫画家が作者。
北イタリアのボローニャに住み、イタリア人男性漫画家と暮らしている。
最初に驚くのが、これって本当にイタリアなの? てこと。
日本人が持つイタリア人のイメージ、陽気でうるさくて厚かましいと言うのは、どちらかといえば南イタリアのイメージなのかもしれない。
この作品に出てくるイタリア人は全くそんなこともなく、落ち着いていて控えめなイメージ。
極めつけはパートナーのアンドレアさんで、なんと「人見知りのイタリア人」。
ホントにイタリア人なのか?
心配性で、作者が海外出張へ行こうとすると、ありとあらゆることを心配して「やめたら」と言う、いじらしさだ。
実際、アンドレアさんも、このコミックエッセイを読んだときは「僕が可愛すぎない?」とコメントしたらしい。
この夫婦の周りの人達も、なんだか奥ゆかしい人ばかりで、このまま日本人だという設定に直しても全く違和感がない。
これがイタリアの北と南との違いなんだろうかと思っていたところ、ヤマザキマリさんのコミックエッセイを思い出した。
てっきり舞台が南イタリアだと思っていたけれど、これも北イタリア。
北と南の違いというよりは、作者のメンタリティの違い、作風の違い、「類友」の違いによるものなんだろうか。
人生いろいろ、イタリア人もいろいろだ。
南イタリアでも悪名高いナポリを舞台にした作品と言うとこちらがある。
シリーズが複数に及ぶロング作品をたっぷりと読んできたおかげで、ナポリ人の腰の強さは、大阪のおばちゃん並みだということは頭に叩き込まれている。
同じイタリアでも地域によって全くメンタリティが違うということも――。
さて、「北イタリアまったりマンガ家夫婦日記」に戻ると、作者は日本で漫画家をしていたものの、行き詰ってイタリアへと脱出する。
絵本や漫画などブックフェアを定期的に開催しているボローニャに腰を落ち着けた縁で、日本の絵本や漫画をイタリアに紹介したり翻訳したりする仕事をするようになり、やっぱり自分でも漫画を描いてみたくなって今は漫画描きをメインに仕事をしている。
現在は夫婦ふたりそろって漫画家の仕事をしているが、パートナーである生粋のイタリア人漫画家アンドレアさんの仕事ぶりはかなり優雅なようで、1日かけてじっくり描き込んでたったの3コマ、て日もあるそうな。
このあたり、イタリアの職人は腕はいいけど締め切りを全く守らないというところに通じている。
レオナルド・ダ・ヴィンチもそうだったらしいよな……。
それでも、このお二人の暮らしは、特別派手でもなく、濃ゆい生活でもなく、日々淡々と過ぎていくのだが、特に何があるわけでもないけど何となく上機嫌で楽しそうで好感が持てる。
作者が言うように、良い季候で、美味しいものを食べて、気の合う人がいれば良い、のかもしれない。
消費税が22%に上がった時に、安い椅子とテーブルを買ってきて狭いベランダに置き、周りの風景を見ながら、夫が作ってくれたパスタ料理を食べる(パスタのみ。おかずナシ)。
それが映画のワンシーンのように見えてしまうのは、単に漫画に描かれているから、だけではないような気がする。
このコミックエッセイは、2012年から2015年までのことが描かれている。
現在の暮らしはどうなってるんだろう。
新型コロナウイルスの影響は?
ぜひ続編を出版してほしい。
この作者の漫画は海外の出版社からは作品を出しているようだけど、日本で手に入るのはこのコミックエッセイのみ。
ぜひ他の作品も読んでみたい。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
・食事は、たんぱく質ファースト。糖質制限中。MEC食継続中。ボトル飲みでプロテイン&メガビタミン
・電子レンジの時短料理で自炊中
・服は制服化&コンフォート命!
・断捨離後、ミニマリストに
・歴史と地理とニュースの社会科好き!
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
・古武術介護
・小笠原流礼法
・沈没バックパッカー(外こもり?!)