戦争ものと言えば、勇ましかったり、戦争の悲惨さを伝えるものであるはずなのだが、これは異色の戦争漫画。いや、戦争の圧倒的な馬鹿馬鹿しさは伝わっ てくるのだが…。
主人公は若き女性将校。兵站が専門。武器弾薬や食料を補給するのが主な仕事だ。
実際に戦ってる兵隊からは書類仕事ばかりやっている「紙の兵隊」と馬鹿にされてもいる。
加えて主人公はバリバリの官僚主義。得意な言葉は「責任問題っ!」だ。
ただ今絶賛戦争中なのだが、そんなことはお構いなし。
「書類のために戦争やってんじゃねぇ」 と現場の戦争屋に言われたら「書類のために戦争やってるんです!」と言い返す。
反撃のための砲弾も、これは輸送用、と使わせない。
ある時は、反乱軍に捕まる。反乱のきっかけは腐りかけた缶詰を支給品とした めだ。搬送した主人公は責められて叫ぶ。この缶詰を用意したのは自分たちではない。自分たちは用意されたものを運んだだけだ。だから自分の責任ではない、と。
これには反乱軍の主将もドン引きだ。
代表してあやまることもしない。
そんなのは誠実ではありません、と切り捨てる。
ザ・官僚だ。
あまり主人公・ヒロイン向きの性格とは思えないのだが、これはこれで一本筋が通っている、時々すがしくさえ思える。
それは何故かと言えば、 戦場が、戦争が、もうむちゃくちゃな状態だからだ。
……戦争ちうのはな 勘違いのカタマリよ
どっこいその軍隊がやってのけるお祭りは
勘違い 偶然 偏見 面子 先入観 情性まみれで右往左往じゃ
兵士が物を盗む、横流しする、賄賂をもらう、握りつぶす、裏切る、二重スパイをする、もう何でもありだ。
真面目に戦争やってるやつなんて一人もいないんじゃないか、と思えてくる。
まあ、人が人を大量に殺す戦争なんて、よくよく考えてみると馬鹿げたことで、 こんな馬鹿げたことなんか、真面目にやってられっかよ、 てなところが本音なんじゃなかろうか。
もし自分が戦争に出る羽目になっても、やっぱりそう思ってしまうだろう。
これに比べると、主人公の何と首尾一貫していることよ。
書類のあらを探すことさえ何だか神々しく見えてくる。
だからこそ主人公、ヒロインなんだろう。
超官僚主義 VSぐだぐだ兵士たち。
妙な戦争漫画を読んでしまった。官僚主義漫画?
でも、戦争の馬鹿馬鹿しさは十分に伝わった。立派な反戦漫画だ。悲壮感のカケラもないけど。
ちなみに、最後に真面目な? 戦争漫画。これまで読んだ中では一番地味だけど一番心にしみた。何にしろ戦争は嫌ですね……。
派手な戦闘機アクションだと思っていただけに、ラストシーンの悲惨さが伝わってくる漫画。こちらは取っつきやすい。説教くさい戦争漫画が嫌な人はこちらから読むと良いかも――。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
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