今回は民俗学がテーマの漫画――。
中年スキンヘッドに巨体&メタボ腹、ファッションは洞窟の中へ入るときでさえ三つ揃い。異色の主人公、宗像教授は民俗学教授だ。
これは以前読んだ 「モズ」シリーズつながりで読んだ。
民俗学って、 伝説やら因習やらてんこれ盛りで漫画と相性が良いテーマだと思って読んでみたのだった。
モズシリーズは葬式民俗学と言うかなりニッチなテーマだったけれど、横溝正史テイストで面自かった。
で、民俗学つながりでこちらも読んでみたのだ。
宗像教授のテーマは「鉄」やそれにまつわるものなので、かなりダイナミック。一番イメージがわきやすいのは「もののけ姫」だろうか。
「たたら場」にて、 シーソーのようなものを片足で踏みながら製鉄する集団は、ふつうの農耕民族からはさぞかし異様に見えたろう。 片目片足の鬼は、製鉄者がたたら場で目と片足を痛めやすいことから誕生したという考察は興味深い。
漫画で面白かったエピソードはサルタヒコなど道祖神の話。道案内の神様だと思っていたけれど、むしろ外来者をシャットアウトするためのものだったという説だ。
新型インフルエンザなどの疾病を防ぐ意味もあったのではと言う指摘は、新型コロナウイルスで騒然となった世界では身に染みるものがある。
こシリーズはもう10年以上前に発行されたものだけれど、まさか10年以上たったあとにパンデミックが起こると は思ってなかっただろうな~。
イースター島のモアイ像が鳥インフルエンザを防ぐために海に向けて建てられたという説もユニークだった。本当に鳥に効果があったかどうかは疑問だけど。
もう一つ面白かったのは、浦島太郎とかぐや姫の「日本昔話」。じつはこの二つの物語はつながっていて、浦島太郎のラストにおじいちゃんとなってしまった老人がかぐや姫に出てくる老爺で、彼はかぐや姫を育てることによって失った竜宮城のお様と再び出会う物語だ、というのだ。
さらに、この二つの物語はあの「源氏物語」にも大きな影響を与えていて、光源氏が藤壺中宮の代わりに紫の上を養育するというのは、そっくり浦島太郎&かぐや姫の物語をなぞっていると言う。
大胆な推論だが、男にとって女とは最大のミステリーであり、 子どものころは母を追い求め、 思春期には同世代の女性を求め、大人になってからは父となって幼い女性を求めるという話には妙な説得力がある。
このエピソードは作者も気に入っているようで、シリーズの中でもたびたび場した。七夕の織り姫と牽牛の物語にも影響を与えているという。
アカデミックに考えるといかがなものか? と思わないでもないけど、話としては面白い。民俗学と漫画とが相性が良いという自説は変わらない。
今度はあの人の作品でも読み返してみようか。こちらはさらにおどろおどろしい……。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
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