珍しいタイプの漫画を読んだ。インタビュー形式あるいは対談形式と言ったところか。対話してる相手から相手の回想シーンへ、回想シーンから作者のモノローグへと次々に場面転換するの飽きない。バラエティの漫画化か?
この漫画は作者自身が何かと絶望していて、それを乗り越えるにはどうしたら良いか、乗り越えた人々から話を聞くことで解決策を探そうとするもの。
なので、作者自身が、かなり激しく感情移入している。 商業主義に毒された漫画界で自分の作品が売れないことについて絶望し、鬱になって心の病になったり、子どものいじめや自殺に憤慨したり、環境問題に絶叫したり。 このため単なるきれいごとの主張に終わらず、臨場感がある。
最初のころはインタビューの相手がいきあたりばったりな感じだったけど、そのうち作者が好きな音楽の世界や環境問題などの「社会派」なジャンルへ切りこんでいくようになっていく。
読んでいると、いまは成功したり、その世界の第一人者になっている人でも眠れぬ夜を過ごしてきたのだと分かってくる。
日本中の市町村を回ってフロン開題に取り組んだ山田バウさんや、区役所職員をやりながら、午後5時過ぎは環境問題や平和問題に取り組む田中優さんのように、人知れず大きな 業績を上げている人もいると分かる。
ただ、どちらかと言えば、自分は、苦難を乗り越えて第一人者になった人や社会派として活躍する方々よりも、 たまに箸休め的に挿入される「脱力系」の人たちが気になった。
ドリフターズで一世を風靡するもドリフの中では目立たないポジションを取り、その一方でライフワークのウクレレでは第一人者になってしまう高木ブーさん。
同じように、 たのきんトリオとしてアイドル絶頂を極めながら、トリオの中では目立たずに、 ひたすら好きなギターをつきつめていき、ギター界のレジェンドになってしまった野村義男さん。
あまり前面に出なくても、マイベースで好きなことをやっているうちに、 いつのまにかその道のエキスパートになってしまうタイプに弱いようだ。
中でも、もっとも印象的だったのは年金バックパッカーの金井重さん。50台になってから旅を始め、 今では120か国を旅した人だ。
仕事以外はほとんど引きこもり状態になってるけれど、定年になったら物価の安い国へ旅に出て「沈没バックパッカー」になるか「外こもり」でもしようかなどと考えている自分にとって、シゲさんはロールモデルになりそうな人だ。
マスメディアに取り上げられなくても、 人知れず自由に生きてる人は、自分が知らないだけで、けっこうたくさんいるんだろうなあ。
そんなことを思わせてくれた「絶望に効くクスリ」。15巻で終わってしまったのは惜しかった。
作者は現在、YouTubeなど多方面で活躍中のようだが、できれば漫画で読み続けたかったなあ。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
・古武術介護
・小笠原流礼法
・楽天ポイ活
・積み立て投資