今回読んだのは、仏像、文化財修復の話。あまり馴染みのなかった世界なので思いがけずカルチャーショックを受けることになった。長い歴史に渡って続けられてきたことと言うものはなかなかに奥深い……。
正直、仏像には興味がなかった。一時期、歴女の次あたりに「仏像ガール」がちょっとだけ話題になったとき、エッセイコミックを読んだぐらい。
読んでも何かに目覚めたわけでも何でもなかったけど(笑)。
強いて言えば、自分の推しは「千手観音」だと分かったぐらい。手が何本もあるってかっこいい。
フィギュアかミニチュアを買ってみようかと思ったこともあったけれど、ガサツな自分は必ず手の一本を折ってしまいそうなので止めておいた。賢明な判断だった――。
そうした数百年を耐えうるほど丁寧な仕事をした
当時からすればいわば常識を外れた頑固な職人の作品しか
現代の私たちの目の前には残らないんですから
これは目からウロコ。
仏像と言えば、なんとなく、どれもこれも後世まで残るものかとかと思っていたけれど、そんなことはないのだ。
たいていのものは50年か100年もすれば壊れてしまうのが当たり前だった。
これは現代だってそう。いや安い代わりにワンシーズン保てば良いって感じ。スパンはむしろ短くなっている。壊れないと新しいのを買ってもらえない。
だから昔は、今よりも人の寿命短かったのだから無理もない。
千年も残るような仏像はコスパなんて度外視した仏師が彫り上げたものだろう。
良いものを作ろうとする職人魂は、周りから見たら狂気を感じさせたことだろう。
そして、修復と言うのはとてもストイックな作業だ。
芸術家の中には
稀にその創作意欲と才能を間違った方向に使うのがいてな
元の像の彫刻技術が自分よりも未熟であったり
像の様相が自分のセンスとかけ離れていたりすると
俺ががもっと上手く彫ってやろう
カッコよくしてやろうと
調子に乗って像の彫り直しまでやってしまうのさ
なまじ才能や意欲があるとオリジナル性を破壊して、千年にも渡って伝えられてきた文化遺産を台無しにしてしまうのだ。
似たようなことは修復技術にも言える。新しい技術、現代の技術が優れているとは限らない。
最新の合成接着剤は確かに強力だけど、数百年経つとどうなるかは分かっていない。
一方、古い接着剤「ニカワ」は千年以上使われているので、どのように壊れてどう対処すれば良いかのノウハウが定まっている。だから、こちらが使われる。長いスパンで考えなければならない。
むしろ、新しい技術を期待して、仏像を傷めるような修復はせず、最低限度で現状維持な調整だけをして後世に託す、と言うこともある。
そのためには、あえて、どこを修復したか分かりやすくするために別の木材を使うこともあるようだ。
何とも悠久な話だけれど、千年スパンで仕事をやっていると、技術自慢、才能への過信などささいなことになってしまうのだろう。
これだけ仏師がストイックに仕事をしているにもかかわらず、依頼主によっては味わいのある仏像を金ぴかにしてしまったりすることもあって、それは仏師にはどうにもならないことのようだ。
こうしてみると、今残ってる感じの良い仏像は、千年以上に渡って奇跡的に生き残ってきたものであると言える。
古臭いカビ臭いだけのものだと思っていたことを反省したい。
最後に最も印象的なエピソード――。
それは、仏像を移動したらヒビ割れが出来てしまったけれど、元の位置に戻したら直ったと言うものだ。
森の小川のほとりにあるお堂にあった仏像で、適度な湿気がその仏像にジャストフィットしていた。湿度が高すぎても腐るし低すぎてもヒビ割れする。
仏像も長年置かれていた場所が最も良い、地元密着型だったのだ、と言うこと。
何となく人間っぽくて親近感――。
全く興味のなかった仏像だけど、年末年始は初詣のついでに、神社の隣のお寺でも覗いてみようかな……。
全4巻――。
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