ついに「寝そべり族」についての本が刊行された。
ナマケモノで寝そべり族な自分としては感銘を覚える――。
これまではネットを通じて断片的な情報は入っていたけど、体系的にまとめられた本は見当たらなかった。
まぁ、あまりほめられるようなことでもないし、出版は難しいのかな、と思っていたけど、ついに、て感じだ。
寝そべり族の基本方針は「六不主義」だ。「六不」とは、「家を買わない」「車を買わない」「恋愛しない」「結婚しない」「子供を作らない」「消費しない」の「六つのしない」を指す。
中国の若者たちが気付いたことは、これまでの古典的な価値観を手放せば、それなりに幸せに暮らしていけるということである。
自分の場合、積極的に新しいライフスタイルを選んだわけでもなくて、結婚出来ないので子供もいないし、家や車も無理して買う必要もないなぁなどと、普通の人が当たり前にやってることが出来ずに世間から落ちこぼれていたのだが、そうこうしてるうちに、中国で「躺平(タンピン)族」が出現したのだ。
それにしても、中国の若者が置かれてる状況もかなり過酷なようだ。
中国では「996」と呼ばれる働き方が一般的になっている。これは「朝の九時から夜の九時まで週六で働く」という意味だ。
日本の企業もブラックが多いけれど、中国もたいがいだ。
人口が14億もいれば、頭一つ抜きんでるのも並大抵ではなさそうだ。
競争の激しさは韓国も同様のようで、グローバルな資本主義社会ってやつは過酷過ぎる。
まさに、橘玲さんの言うように、才能ある者にとってはユートピアだけど、才能の無い者にとっては無理ゲー社会、ディストピア世界なのだ。
寝そべり族のムーブメントは、無理ゲー社会・ディストピア世界へのカウンターカルチャーなのだろう。
「寝そべり族マニュアル」では、中国の寝そべり族についての「まとめ」の後、作者の生い立ち、寝そべり族の日常に続いて、寝そべり族の思想・哲学へと進む。
古今東西の哲学者・宗教者たちも、寝そべり族の立場から見ると、また違って見えてくる。
「隠れて生きよ」で有名な快楽主義のエピクロスは隠遁型ミニマリストだし、「超人思想」ニーチェのニヒリズムも意外と寝そべり族と相性が良い。
ブッダは偉大なレジェンドニートだし、仏教とニートの相性はバツグンだ。
ジャッジフリーな老壮思想は、もはや寝そべり族の聖典――。
「寝そべり族マニュアル」で紹介されていた「老子 第20章」などは、作者が言うように「社会不適合者の鬱ニートポエム」そのものだ。
老子が前よりも好きになったよ(笑)。
寝そべり族やニートに対して、フリーライダー問題など、アンチが多いことは百も承知だけど、いざとなったら寝そべれば良い、てことを知っておくのも悪くないはず。
選択肢は多いにこしたことはないのだから――。
【プロフィール】
サイドFIRE(セミリタイア)目指す寝そべり族。
寝そべりながら年100冊の本を読み(Kindle書籍読み上げで耳活)年2,000冊のマンガを読む。
片道一時間の自転車通勤は10年を突破。
食事は肉・卵・チーズのMEC食。
調理はレンチン一択。
水出しコーヒーとグリーンズフリー(ノンアル)を愛飲中。。。