「背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~」読了
久々に、少年ジャンプ系のマンガを最後まで読み終わった。
このトシになると、なかなか難しいことなのだ。
例えば、今さら言うまでもない「ワンピース」なんかは、もう、自分には読めない。
なんというか、気恥ずかしくて読めないのだ。
まだ、「デスノート」だったら読める。
汚れた大人になってしまったのだね。
この作品は、おもしろかった、と言うよりは、楽しかった、と言う感想だ。
ちょっとネタバレあり
主人公は、よくある目立たない男子高生で、高校入学してから競技ダンス部に入る。
個性的で才能あふれる先輩たちと活動しているうちに、競技ダンスの世界に魅せられていく。
しかし、この主人公、時々、ハッとさせるけど、基本的にはあまり活躍しない、普通なら脇役タイプの「いい人」なのだ。
しのぎを削るのは、先輩やパイセンとそのライバルたち。
ダンス初心者なので、解説役もできない。
なので、解説は「玄人おじさん」という通りすがりキャラクターがもっぱら勤めている。
先輩たちのダンスを見ては、すごい、すごい、と興奮する役回りだ。
そして、なんと、これは最後まで変わらない。
先輩たちの後継者となって日本一を目指す、世界を目指す、プロになる、というストーリーにはならないのだ。
せいぜい、部長になるくらい。
少年ジャンプなのに。
何とも不思議な立ち位置だが、等身大なのかもしれない。
今どきの少年ジャンプ読者はマンガの世界でも、現実的なんだろうか。
少年ジャンプの懐の広さよ
よくまあ、こんな主人公を許可したもんだなあ、と感心する。
しかし、振り返ってみると、少年ジャンプって、よく、こんな作品を載せたよなあ、と思うようなのを、時々、掲載してる。
ほとんどは、それっきりになってるんだろうけど、中には、「ジョジョの奇妙な冒険」みたいに大化けするものもある。
作者の荒木飛呂彦さんが、読み切りや短期連載を始めた頃は、「何だ、この異様な作品は」などと思ったもんだった。
当時は、まだ、古さを感じさせる絵柄で、文字通り「奇妙な」雰囲気をまき散らしていた。
今なら、それが「個性」というものだとわかるけど、当時は、ただただ異様なだけだった。
ナンバーワンより楽しい日常
目立たない主人公が、ある世界に目覚めて、その世界で活躍して、女の子もゲットする、というのは、マンガでよくあるパターンだ。
王道と言ってもいい。
同じ競技ダンスのジャンルだと、「ボールルームへようこそ」がある。
こちらも目立たない男子高生が主人公だけど、パートナーチェンジの大変さなどを描いていて、大人風味の印象だ。
けっきょく、「背すじをピン!と」の主人公は、大活躍するわけでもなく、ヒロインとはっきりくっつくわけでもなく、普通に部活動を続けていくラストで終わる。
それでも、なんだか楽しそうだし、読んでみての感想は、やっぱり、「おもしろかった」より「楽しかった」になる。
自分が、すごい人たちと、すごい世界の一員であることのワクワク感が伝わってくるのだ。
まんが、コミック&Cool Japan ガイド:
子どもの頃からマンガを読んできた。
買ったり、借りたり、100円で買えるようになったり、図書館で借りられるようになったり、宅配レンタルできるようになったり、スマホで見れるようになったり……。
時代の変化はあったけど、とにかくずっと読んできた。
あるマンガ読みの、つぶやきとレビュー。