らくだのライフハック

猫のように丸くなって暮らしたい

─セミリタイアして本とマンガの日々─

【地政学のきほん】死ぬほど分かりやすい地図を国別・年代順に追っていくと、なぜ反日がこれほど多いのか、ロシアは南下するのか、中国は新疆ウイグル自治区を弾圧するのかが見えてくる。 

 

副読本ナンバーワン認定!

 

シンプル過ぎて味も素っ気もない本だけど、地図をスッキリさせるだけでこれほどに分かりやすくなるのか、と驚かされる――。

地政学の本に地図がたくさん載っているのは当たり前だけど、実はどの本の地図も分かりにくいものが多い。

どうせならとたくさんの情報量を盛りこんでしまうのと、やたらとカラフルにたくさん色を使ってしまうので、かえって わかりにくくなってしまうのだ。

 

その点、「地政学のきほん」に掲載されている地図はストイック過ぎてビックリする。

ほとんど 略図といっていいぐらい シンプルな地図を各見開きページにどーんと載せているのだ。

この地図で何を言いたいかがストレートに伝わってくる。

 


また、他の地政学本のように、地政学の概論を並べるのではなく、それぞれ国ごとに、地政学的観点から見た歴史をまとめていく構成もユニークだ。

考えてみたら地政学って、その国がどうすれば戦争に勝てるか、どうすれば繁栄するかを追求した学問なので(だから悪魔の学問などと呼ばれる)、この構成の方が正しい。

冒頭の「大陸国家になれなかった日本」から引きこまれた。


日本の海外進出の歴史を地図に落としこんだものを年代順に並べてみていくと、よくもまあこんなちっぽけな島国が、中国大陸や太平洋へと暴れまわったもんだと感心してしまう。


どうも日本は太平洋戦争で原爆を落とされたために、日本人は戦争の被害者だと感じているようなのだが、むしろ 海外の国々は、日本は加害者で今なお 警戒すべき国だ、と思われているらしい。

いまひとつ ピンとこなかったけど、地図で見ていくと なるほどと思わざるを得ない。

 

一つの国の歴史を地図でずっと追っていくというやり方はとても有効。

 

例えば ロシア――。

ロシアの歴史を地図で見ていくと「ロシアの南下政策」がホントにロシア民族の悲願だったことがよく分かる。

何度も何度も南下を繰り返しては阻まれる。

それを何百年もの間やってきたのだ。

(だからロシアのウクライナへの侵攻が正当だというわけではありません。念のため)


そして 中国――。

日本人が中国の歴史を見るときは、どうしても 漢民族単独で見てしまいがちなんだけど、中国の歴史というのは北方遊牧騎馬民族との戦いの歴史ということがわかってくる。

小説ネタで有名な「項羽と劉邦」だって、実際は、項羽と劉邦遊牧民族との三国志なのだ、て説もあるくらい。

(この説は目からウロコだったのだが、どの本に書かれていたのか忘れてしまった)


なぜ中国はそんなにまで新疆ウイグル自治区を目の敵にするのか、日本人の感覚ではよくわからなかったけれど「地政学のきほん」を読んでわかった気がする。

よほど過去の恨みが深いのだろう。

(中国の新疆ウイグル自治区に対する弾圧を正当化するものではありません。念のため)

 

文章という物語だけでは分かりにくかったことも、地図を年代順に追っていくことで立体的に俯瞰できるようになる。

これまで 地政学の本は何冊か読んできたけど、「地政学のきほん」は地図のわかりやすさ、国別にまとめたユニークさによって、副読本ナンバーワンに認定されるべき!

 

 

【プロフィール】
サイドFIRE(セミリタイア)目指す寝そべり族。
寝そべりながら年100冊の本を読み(Kindle書籍読み上げで耳活)年2,000冊のマンガを読む。
片道一時間の自転車通勤は10年を突破。
食事は肉・卵・チーズのMEC食。
調理はレンチン一択。
水出しコーヒーとグリーンズフリー(ノンアル)を愛飲中。。。