正直言うと浅野いにお作品は今まで敬遠してきた。
いかにもリアルだな、イマドキの若者ってこうなん? などと思いながら読んでいると、自分がいつのまにか時代からズリ落ちていることが分かってしまうから。
と言いつつ「世界の終わりと夜明け前」の奥付を見ると2008年刊行となっていて、うっひゃーとなってしまう。
もうとっくに時代から取り残されているのだ。
もう一つ苦手なのは、登場人物たちのヒリヒリとした気持ちが伝わってくるようで、なんだか、いたたまれない気持ちになってしまうからだ。
これがエモいってやつ?
いや、「エモい」って言葉自体、最近、聞かない。
もう死語?
なんにしろ心がザワつく。
「世界の終わりと夜明け前」は短編集だけど、中でも「東京」が印象に残る。
主人公は漫画家で、インタビューのシーンでは「先生の作品は浅く感傷的過ぎると批判されることがありますが、その一方で閉塞感の続くこの時代において、一部の若者から熱狂的に支持されています」などと言われてしまう。
これって作者が実際に言われたことかな?
つい深読みしたくなってしまう(笑)。
あとがきに書かれていたけど、「東京」が雑誌に掲載されたあと複数の友人から「大丈夫だよ、面白いよ」と慰められたそうだ。
どこか自分を突き放していて、それでいて友人たちを作品で心配させてしまうほどのエモさ。
やっぱり才能ある人なのだ。
他の作品も読んでみたいけど、長編はシンドそうな気がするので次はこれを読んでみるつもり。
全2巻――。
【プロフィール】
サイドFIRE(セミリタイア)目指す寝そべり族。
寝そべりながら年100冊の本を読み(Kindle書籍読み上げで耳活)年2,000冊のマンガを読む。
片道一時間の自転車通勤は10年を突破。
食事は肉・卵・チーズのMEC食。
調理はレンチン一択。
水出しコーヒーとグリーンズフリー(ノンアル)を愛飲中。。。