今は無くなってしまった「東洋の魔窟」の写真集――。
自分の団地好きのルーツはここにあったかと改めて再認識させられた。
こういうのに弱い。
あらゆるものがごちゃごちゃになっていてカオスな迷宮。
こんな無秩序状態の中に紛れて暮らせたら気楽だろうなあ。
もっとも、一時期は黒社会の溜まり場になっていて、観光客が襲われた事があったというのも事実らしい。
実際に香港へ行く機会はあったけど、ついに九龍城を訪れる勇気はなかった。
でも、この写真集を見ると、洗濯物が干してあったり、おじいちゃんが豚をさばいていたり、半裸のおばあちゃんがタバコを吸っていたりと生活感があふれている。
ちゃんと人が暮らしていたのだ。
写真だけでなく、巻末に寄せられた、「怪人」荒俣宏氏のルポが面白い。
継ぎ足しで作られた水道管からは絶えず水漏れがして、小さな子供がシャワー代わりに水を浴びていたそうだ。
う~ん。やっぱり訪れてみたかったな。
雰囲気だけでも味わいたい人には次の漫画がオススメだ。
漫画に出てくる九龍城は、ごく普通の人々が暮らす巨大な団地に見える。
最新巻は6巻――。
映画「スワロウテイル」にも九龍城をモデルにしたシーンが出てくる。
荒俣宏氏のエッセイで知ったけれど、ゲーム「クーロンズ・ゲート」は実際にあった九龍城をバーチャルで体験できるレベルだそうだ。
先ほどの「九龍ジェネリックロマンス」の作者も、このゲームで九龍城を知ったとのこと。
ゲームは全くやらない人間だけど、これだけはやってみたくなった。
九龍城の雰囲気をまとった建築物には、同じく香港にある重慶大厦(チョンキンマンション)がある。
こちらも一度は訪れてみたい。
もっとも、香港のクリーン作戦とやらで、観光客は行きやすくなったけれど、独特の雰囲気は失われてしまったようだが……。
都市の迷宮、集合建築物は心惹かれるテーマ。
これからも追いかけていきそうな予感がする。
【プロフィール】
サイドFIRE(セミリタイア)目指す寝そべり族。
寝そべりながら年100冊の本を読み(Kindle書籍読み上げで耳活)年2,000冊のマンガを読む。
片道一時間の自転車通勤は10年を突破。
食事は肉・卵・チーズのMEC食、調理はレンチン一択、水出しコーヒーとグリーンズフリー(ノンアルコールビール)を愛好中。。。