残酷な「無理ゲー社会」を攻略するためのたった一つの生存戦略を書いた本、のはずなのだが――。
こないだ読んだ「無理ゲー社会」は衝撃的な本で、もっともショッキングだったのは、そこに書かれている「不都合な真実」がどれも本当のことだと思えてしまうことだった。
だからこそ読んだ後の絶望が深かった。
「裏道を行け」はこの絶望から救ってくれるかもしれな、この「ディストピア世界をHACKする」ことができるかもしれない。
と思いながら読み始めると、思いっきり肩透かしを食らうだろう。
何しろ初っ端からアメリカ初のナンパ術が延々と紹介される。
確かにモテ格差社会の克服は重要なテーマかもしれない。
けれども社会人になると、「モテ」よりは「金」が物を言うようになる、て流れで、「金融市場 をHACKせよ」となる。
「女(男)」と「金」の攻略。
綺麗事抜きのシンプルさだ。
それでも気分がアガらないのは、ブリトニー・スピアーズを攻略するほどのナンパ師でもあまり幸せそうな人生ではなく、金融市場をHACKするほどの億万長者でも、「(金儲けは)得意ではあるけど、好きではない」などと言っていることだ。
そもそも投資の世界で成功するような人は、子供の頃から数学の天才と呼ばれた人達ばかりで、凡人には全く参考にならない。
その後、第3章では、買い物、ギャンブル、SNS、ポルノなど、資本主義社会からのハッキングをブロックする方法が述べられる。
第4章ではAI との連携、仮想空間でのアバター、肉体のサイボーグ化など自分自身の拡張についての未来が描かれる。
ようやく具体的なライフハックが提示されるのが第5章だ。
「寝そべり族」から入り、ミニマリズムやFIRE(経済的独立と早期リタイヤ)が出てくる。
この辺りは自分にとっても、とても馴染みのある世界だ。
自分の志向する世界観が、それほど間違っていないのだなと思えて、少しほっとした。
興味深いのはFIREを実現した後何をするという話題で、贅沢をするよりも「評判」を欲しがる、と言っていること。
バンクマン゠フリードは、きわめて高い知能によって金融(仮想通貨)市場をハックして巨額の富を築いたが、その生活はミニマリストにきわめて近い。いまやほんとうの「富豪」は、ルームシェアのアパートで暮らし、野菜ばかりを食べ、「世界を変える」ために慈善団体にせっせと寄付をしているのだ。
果たして自分はどうだろう?
まぁ、そこへ行き着くまでの途上で終わってしまうのがオチだろう。
もうすでにミニマリストを名乗れるぐらいには断捨離済みなので、後はせいぜいFIREを目指し、実現したら思う存分「寝そべり族」を満喫して、本や漫画を読んだりスマホをイジったりして寝て暮らすことにしよう。
「裏道を行け」を読んで、希望が持てた、と言うことはないけれど、この「無理ゲー社会」を攻略してやろう、隠しアイテムを探し、裏技を発見して、抜け道を行ってやる、と言う勇気? らしきものが湧いてきたのは事実だ。
今はこちらを読み始めたところ。
子供向けなので、「裏道を行け」よりは希望的な事が書かれている。
「裏道を行け」を読んで絶望を深めた人には、ぜひオススメ!
そのうちレビューしたい――。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
・食事は、たんぱく質ファースト。糖質制限中。MEC食継続中。ボトル飲みでプロテイン&メガビタミン
・電子レンジの時短料理で自炊中
・服は制服化&コンフォート命!
・断捨離後、ミニマリストに
・歴史と地理とニュースの社会科好き!
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
・古武術介護
・小笠原流礼法
・沈没バックパッカー(外こもり?!)