幕末に漂流した土佐の漁師・ジョン万次郎。
彼はエイハブ船長の捕鯨船に拾われていた?!
万次郎とエイハブは白鯨・モービィ・ディックを追う――。
虚実ないまぜになった伝奇小説。
著者会心の一撃だ。
実在する歴史上の人物、ジョン万次郎と、文学史上に残る作品の登場人物、エイハブ船長。
この組み合わせを考えるだけでワクワクしてくる。
そしてラストシーンでは、ジョン万次郎と「白鯨」の作者メルヴィルとの出会いを描いていて、この物語が単なる絵空事ではなくて、もしかしたら実際にあったことなのかもと思わせてくれる。
実際、メルヴィルもジョン万次郎も同時代の人で、どちらも捕鯨船に乗っており、漂流したり、冒険したりと波乱に満ちた生涯を送っている。
特にメルヴィルなど、wikiでざっと読んだだけでも、ぐったりするような人生を過ごしているし、よく小説を書く元気が残っていたもんだと感心しきり。
それにしても、この物語は鯨を「狩る」シーンが素晴らしい。
ストーリーテラーの作者は、万次郎が日本の土佐で見た捕鯨と、同じく万次郎がエイハブ船長の船で実際に行ったアメリカ式の捕鯨と、両方とを味わい比べられるように、ねちねちたっぷりと描写してくれてる。
鯨とりの勇壮さは、まるで死人の出る激しい祭りのようだ。
海の男たちが夢中になるのも無理はない。
実際にこの目で見ることは無理そうなので、ひところ話題になったドキュメンタリー映画を観てみたくなった。
Amazonプライムで観れたら良いんだけどな~。
そして終盤、モーヴィディックとの息詰まる死闘。
「自分のありったけをぶつける」
「人は自分の夢のために間違った道を選択してもよい」
作者お得意のセリフがバンバン出てくるが全く違和感がない。
むしろ心にしみる――。
神の使途か、悪魔の化身かと言う白鯨がよく見ると年老いたクジラであることも胸を打つ。
スマッシュヒットだ――。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
・食事は、たんぱく質ファースト。糖質制限中。MEC食継続中。ボトル飲みでプロテイン&メガビタミン
・電子レンジの時短料理で自炊中
・服は制服化&コンフォート命!
・断捨離後、ミニマリストに
・歴史と地理とニュースの社会科好き!
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
・古武術介護
・小笠原流礼法
・沈没バックパッカー(外こもり?!)