2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位となった「ザリガニの鳴くところ」。
「カラハリが呼んでいる」は「ザリガニの鳴くところ」著者と夫がアフリカで野生動物の研究をして過ごした日々が描かれている。
カラハリ砂漠はアフリカのボツワナ共和国にある。
ボツワナ共和国はアフリカの南部にあって南アフリカ共和国のお隣だ。
と言えば、なんとなくの位置がわかるだろうか。
「ザリガニが鳴くところ」の著者が動物行動学者だったのは有名な話だが、実は夫婦二人そろって動物行動学者。
アフリカで過酷なフィールドワークをやっていた人たちだったのだ。
実際、「カラハリが呼んでいる」を読むとアフリカの自然の厳しさに圧倒される。
ただでさえ暑く乾いた土地なのに、すべてが燃え尽きて灰にまみれてしまう「野火」が起きる。
たまにカリフォルニアあたりに起こる大規模な山火事を思い浮かべるといいかもしれない。
時にはライオンの群れの襲撃を受ける。
こんな時に限って夫はいないし車もない。
トランクをタテにテントの中で踏ん張ることになる。
アフリカでは自然災害や動物だけではなく人間だって怖い。
時にはテロ組織や軍隊の人間に銃を突きつけられたりもする。
夫婦が観察する野生動物の世界も負けず劣らず過酷だ。
ハイエナの群れには厳しいカーストがあって、上位のハイエナは下位のハイエナに容赦ない。
気まぐれに噛みついて振り回したりすることは当たり前だ。
ライオンの世界も同様。
若いオスは、ある程度大きくなるとボスのライオンから群れを追い出されてしまう。
別の群れのボスライオンを倒してハーレムを乗っ取るか、はぐれライオンになって放浪するしか生き残る術はない。
ちょうど「無理ゲー社会」を読んだばかりだったので、野生動物の世界と現在の日本社会がシンクロして見えて困った。
激しい競争にさらされている現代の日本社会は、アフリカの野生動物の世界へと先祖帰りしているのかもしれない。
アフリカの野生動物からは「何を今さら」と笑われてしまうかもしれないが。
もちろん本書には、過酷なばかりではなく、アフリカの豊かな大自然や、懸命に生きる野生動物の姿や、夫婦を助けてくれる恩人、恩人が亡くなった後での恩人の娘さんとの出会いなど心温まるエピソードも数多いのだが、ヘタレな自分は、とにかくアフリカの自然の厳しさに圧倒されてしまった。
それにしてもこれほど過酷なフィールドワークを7年も続けて、自然保護活動にも邁進して、その上に「ザリガニの鳴くところ」を執筆してしまう著者のバイタリティーには脱帽だ。
次回作執筆中と言うことなので待ち遠しい。
【プロフィール】
年2,500冊の漫画を読み、年に100冊の本を電子書籍読み上げ機能で聞き、片道一時間の自転車通勤を続ける日々――。
のんびり暮らすライフスタイルと、がんばらないためのライフハックがテーマ!
・食事は、たんぱく質ファースト。糖質制限中。MEC食継続中。ボトル飲みでプロテイン&メガビタミン
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・断捨離後、ミニマリストに
・歴史と地理とニュースの社会科好き!