巨大な団地も今は高齢化が進んでいる。
その一方で外国人が住み始めて団地住民の半分が中国人となりつつある。
すると、どういうことが起きるか――。
作者は実際に団地に住み、自治会活動や日本語ボランティアを通じて、運営サイドの人たちや中国人たちと付き合ってきた。
芝園団地は、前述したとおりに住民の半分が中国人となっている。通称「チャイナ団地」だ。
ネットでは「治安が悪い」などネガティブな書き込みが目立つけれど、実際に住んでみるとそうでもないらしい。ちょっと意外。でも、それは偏見だったのだ。
それもそのはずで、団地に住む中国人は IT関係の仕事に就いている者が多い。知的職業者が多いのだ。正直、低所得者が多いのかな、と想像していたので意外だった。 これも偏見――。
むしろ高額所得者が多いようで、もっと良い所に住めるけれど、奥さんや子どもの面倒を見に来てくれる親たちのために団地を選択するケースが多い。
この団地なら、中国人経営の店も多いし、日本語を話せなくても生活に不自由しないからだ。
たまに子どもの面倒を見に親が日本にやってきたりするけれど、昼間、 団地中央の広場に行けば、似たような立場の中国人たちが集まっていて世間話も出来るのだ。なるほど中国人にとっては便利なことこの上ない。
知的職業の中国人が多いのなら、日本人と中国人との交流もすんなりいくかと思いきや、現実はなかなかそうもいかない。
日本人サイドでも、もちろん中国人とは仲良くやっていければとは思いつつ、特別な事情がない限り、かかわりたくないという本音が透けて見える。
これを責めるのも酷だ。年を取って、ただ穏やかに暮らせれば、と願っているお年寄りに国際交流はハードルが高すぎる。
それに、中国人は後から来たのだから先住民にもっと敬意を表すべきだ、という意見の人もいる。
こうなると、先住民と新住民とのギクシャクの話と同じになってしまって、日本人と中国人だから難しいということでは無くなってくる。
団地の日本人はもう高齢化も進んでいるので、こじんまりと静かに暮らしていきたいのだ。
中国人側も、基本、3年程度で団地から出ていくことが多いし、なにしろ中国人とだけ付き合って、中国語だけで生活に不自由ないのだから、どうしても日本人と交流する必要性もなくなってくる。
もっと恐ろしいことは、中国人のIT技術者たちにとっては、日本はたいして給料も高くないし、技術も高くない、市場としての魅力が無くなりつつある、ということだ。
チャイナ団地から中国人が引き上げてしまったら団地棟の廃墟が残るだけになってしまう。
最近はニュース本などで移民・難民問題について読むことが多かったので、とても興味深く読んだ。
本書の場合は移民ではないけれど、住民の半分が外国人になってしまったらどうなるか? のケーススタディになるだろう。
トランプ大統領が出現したのも、イギリスがEU から離脱するのも、乱暴に言い切れりば移民問題だ。
日本は少子高齢化が進んでいるので、外国人人材を活用しなければ社会を維持できなくなっている。
それにもかかわらず、日本にやってきた外国人とは上手く交流できてない。
では、どうすれば良いのか? 簡単に結論は出ない。
だからこそ、この芝園団地がどうなるかを見守っていきたい
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
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