戦国時代、兜の代わりに鉄鍋をかぶり、戦場で生きる糧(かて)となる「飯」を作る男がいた――。
今度のグルメ漫画は歴史ものだ。
主人公、 弥八は「飯が人を作る!」が信念の足軽。戦闘はからきしだが、美味い飯を作るこ とによって戦国大名たちに一目置かれていく。
この戦国大名たちがちょいマニアックな選択で歴史好きにはウケる。
龍造寺隆信、立花道雪、村上海賊、山中鹿之助、 毛利輝元、吉川元春などなど、 西日本のシブい大名たちばかり。 名前は開いたことあるけど、 実際はよく知らない タイプ。
どうしても信長一秀吉一家康ラインのセントラルな大名ばかりが注目されがちなので、登場する地味大名たちのプロフィールを知るのも楽しかった。
弥八がこれら大名の知己を得ていくのも、飯を食わないと死ぬし、美味い飯を食わないと元気が出ないからで、 この点、足軽だろうと大名だろうと変わらない。
弥八の「人は飯の前では平等」という言葉はもはや信念ではなく真理になっているのだ。
弥八がどうやって料理についての知識や腕を手に入れたのか、作品では明らかにはされていないけれど、後世のグルメネタになってるエピソードがぼつぼつと登場する。
たとえば、すき焼き。 農器具のスキを使って肉を焼くシーンが出てくる(だからすき焼き?)。
また、 白米を食べてばかりいると脚気(かっけ)になりやすく、玄米を食べると治る、などなど。
戦国時代に白米? と疑問に思わないでもないけど、 それは野暮というものか――。
脚気ネタは日露戦争グルメ漫画にも使われてたなあ。やはり日本は米の国だ。
もっとも印象的だったエピソード――。
猿掛城で絶望的な籠城戦をするときに、弥八は何とか食材を手に入れて城兵を鼓舞させる飯を作るのだが、もともとこの城は毛利元就が細かく手を入れて栗や桃など実のなる樹を多く植えてあったり、人工の小川や池が配置されて魚や水水菜がとれるように配慮されていた、と言うもの。
こんなエピソードが歴史オタクの気持ちをくすぐる――。
最終巻で、弥八一行は本願寺の籠城戦に加わるのだが、この本願寺編の描写が素晴らしかっ た。
門徒宗が集まって自発的な寺内町が出来上がっており、 人は身分の別なくつきあい、打倒信長で一丸となっていた。
見開き2ページに本願寺の町割りを描いたシーンはまるで絵図面のよう。作者(アシさん?)渾身のページではなかったか。
川や堀に囲まれた本願寺を見ていると、法主顕如に関する本を読んでみたくなっ てしまった。よく信長は攻略できたもんだ。
残念ながら、この漫画、 第6巻で唐突に「第一部完」となる。
打ち切り?
確かに同じ戦国グルメもの「信長のシェフ」などと比べたら地味だったかもしれないけど、もっと続いて欲しかった。
やはり戦国大名のチョイスがマニアック過ぎたのか……。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
・英語で読み書き
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