文化人類学者であり「ナマケモノ倶葉部」を主催しスローカフェ」を経営している辻信一さんの著書だ。
基本的に子どもに呼びかける形をとっているけど日常にがんじがらめにからめとられて身動きと れない大人たちにこそ読んでもらいたい。
「辻本」では定番のエピソードだけど、動物のナマケモノのエピソードは何度読んでも心を打たれる。
とにかく動きがスローモーでバカにされるナマケモノだけど、体が軽くてずっと細い枝にぶら下がっていられるのでその分襲われる心配はない。
しかも野生の動物というものは食べられるものが2~3種類しかなくて、その少ない食べ物をめくって生存競争が繰り広げられるわけだけど、ナマケモノはなんと90種類ほどのものを食べられるので、競争しなければ食べられないものはきっさと他の動物に譲って競合しないものを食べるという。
「強く」「大きく」「速く」 と言った強者の戦略ではなく、徹底して競争を避ける弱者の戦略でサバイバル
しているのだ。
これは人によっては「ヘタレ」と言われてしまうかもしれないけど、このごろはビジネスの世界でも、 「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」と言う考え方が言われるようになってきているので風向きも変わりつつあるのかもしれない。
競争の激しい血の海、「レッドオーシャン」に飛び込むよりは、競争の少ない「ブルーオーシャン」に飛び込む方が生き残る確率は上がるというわけだ。
さらにナマケモノがリスペクトすべき対象となる根拠は、フンをするときだけは危険を冒して木から降りていき、木の根元に穴を掘ってフンをして埋める、ということがある。
木の葉を食べて出たフンを肥料として木に還元する。 意け者だがエコロジーでサスティナブルな存在だったわけだ。
時々、妄想するのだが、部屋の中にデカい鉢植えで木を一本置いて、 ペットにナマケモノを飼って枝にぶら下がっている姿を愛でてみたい。
動かないし、 吠えないし、 食べないし、フンは木の根元に植える。 理想的なベットではないか。 まあ。ホントにナマケモノをペットに出来るのか、ワシントン条約だかに抵触しないのか、それは定かではないのだが…。
もう一つ、本書でハッとした指摘があった。長いけれど引用しよう
言われてみると、 われわれ人間、ホモ・サピエンスは他の動物たちと比べて税にスローな存在なのだ。そのスローな人間がとりあえず生進系の点に立っている(その事句に地球まで壊そうとしているの だがそれはさておき)こう考えると、 「スロー」であることは、 とても重要なことなのだが、忙しい現代 ではざなりにされている。 「スローでも良いんだよ」ではなく、「スローは強い」と言い切っても良いのではないか、と思う。
人間は、他の動物と比べて、子育てにも成長にもやたらと時間がかかる。よく考えたらとてもスローな存在だ。にもかかわらず、生態系の頂点に立っている。矛盾する話だ。
自分の場合、怠けていたいのを「スローライフ」を建前にして正当化しようというセコい 戦略があるけれ ど、「スロー」と言う概念は、そういうセコい自分をも呑みこんでいく懐のの大きさがある。今回の読書で そう感じた。
【プロフィール】
夢とか夢中になれることは特に無いので、嫌いなこと、やりたくないことを回避するライフスタイルと、がんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1~2冊)漫画を読んでいく生活(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事は糖質制限中。MEC食&高脂質食。ボトルでプロテイン・EAA&メガビタミン。
・ホットクック 1.0Lで自炊中
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
これから、やりたいこと――。
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