思い切って司馬遼太郎短篇全集を購入した。全12巻。
自分にとっては安くはない買い物だ。特に、ここ10年ほど、本は図書館で借りるものという生活を送っていたため、何やら後ろめたい気持ちまでしてしまう。自分がこんな贅沢をしてしまって良いのだろうか? と。
それでも方針転換したのは、スマホのKindle読み上げ 機能を使って本を「聴く」ようになったからだ。
隙間時間というのはけっこうあったようで、「耳活」を始めてから読書量は格段に増えた。今のところ、週二冊ペース。このままだと、一年で100冊は読めそうだ。
せっかく金を出すのだから、前から再読したかった司馬遼太郎の短篇全集を選んだ。
自分の読書体験は大学に入って勉強から解放されてから始まり、その時に読んでいたのが司馬遼太郎なので、読書の原点とも言える。
Kindle読み上げ は完璧に正しく読むわけではなくて、読み間違いも多い。固有名詞の読み間違いが続くとストーリーに入っていけないこともある。一度読んだことのあるものを聴いていくのは耳活初心者向けには都合が良かった。
さて、この全集。再読以外にもお楽しみがあった。
発表順に作品が並べられており、未発表作品がけっこう入っていることだ。さすが全集!
未発表作品中が発表順に並んでいると、国民的作家である司馬遼太郎さんも、最初の頃はこんな作品を書いていたのか~と意外に感じたりする。
独特の文体は初期の頃から同じなようで違和感は感じないけれど、そういえば司馬さんって新聞記者だったんだよな~と思い出したりする。
読みやすく分かりやすい新聞記事を読んでるみたいな気分。司馬さんは歴史を取材して記事にしていたのかもしれない。
第一作の「わが生涯は夜行貝の光と共に」は、ひたすら螺鈿細工を追求する職人、第二作「「国宝」学者死す」も同様に世間や世渡りや名声には背を向けて魚の研究に一心した大学講師が主人公。何やら芸道ものの趣きだ。
司馬さんは一つのことを脇目も振らずに追求する人が好みだったのかも。
その他、意外な作品もある。司馬さんと言えば、歴史もの、戦国・幕末が舞台、というイメージが強いけど、ファンタジーものや、現代もの、大阪人情ものもあったのだ。
ファンタジーものは、「花妖譚」シリーズがある。司馬さんがギリシャ神話の美少年ナルシスを描いているのは、けっこう違和感。妙に淡々と書いている。
現代ものの中でも大阪人情ものも違和感バリバリ。タイトルがずばり「大阪商人」の主人公は「ガタ政」だ。もちろんこてこての大阪弁をしゃべる。
ミステリ仕立て? の「マオトコ長屋」は関西テイストが底に流れているせいか、タイトルほどにはエロくならない。
団地妻がいきなり駆け落ちする「ある不倫」もある。
あまり女性を描かない印象があったけど、始めはそうでもなかったのだ。
2巻に収録されてる「神々は好色である」など人間どころか神様が身も蓋もなくまぐわっていらっしゃる。それでもエロくない。ねっとりしない。乾いた明るさ。よく司馬さんの明るさは「からり」と表現される。この作品も典型的な「からり」だ。
読書の原点へ戻ろうと購入した短篇全集だけど、意外な発見もあって読んでくのが楽しい。
贅沢だけあってボリュームたっぷり。最後まで読むのにあと1~2ヶ月は楽しめそうだ。司馬遼太郎好きにはオススメ!
【プロフィール】
嫌いなことやりたいことを回避するライフスタイルとがんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1冊)漫画を読んでいく(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事はMEC食からEAA&メガビタミンへ移行。糖質制限中。
・ホットクック 1.0Lで自炊開始
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・スマホはiPhoneからPixel 3a XL へ移行
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
最近、取り組んでいるもの――。
・音声入力
・Excel自動化(マクロ・VBA」
・徒歩通勤
・朝活(ファミレス)
これから、やりたいこと――。
・古武術介護
・小笠原流礼法
・競歩
・ポイ活
・積み立て投資