らくだのライフハック

猫のように丸くなって暮らしたい

─セミリタイアして本とマンガの日々─

【読了】コミュ力無さに幕末から弾き出されていく男の物語! 「有隣は悪形にて/司馬遼太郎」

 

 

木曜島の夜会 (文春文庫)

木曜島の夜会 (文春文庫)

 

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本書は短編集。表題作は歴史小説というよりはルポルタージュ


 

 

残りの三編はいつもの幕末もの。うち一編の話が気になった。

 


「有隣は悪形にて」は、幕末という激動の時代にメインストリームにいながら、ヒーローになりそこねた男の話だ。

 


富永有隣は吉田松陰と言う日本史に名が残るような著名人に近い人物で、元々は牢仲間、牢を出てからは松陰の塾を手伝っていた。そもそも牢を出ることができたのも松陰のおかげだった。


それなのにはじき出されてしまったのは異常なほど自尊心が高くて他人に悪態をつかずにはいられない性格のせいだった。


自尊心が強すぎて虎になってしまった男と言うと中島敦の小説だけれど、富永は虎にもなり損ねて、しかたなく人間界で生きてるような男だった。

李陵・山月記 (新潮文庫)

李陵・山月記 (新潮文庫)

  • 作者:中島 敦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/12
  • メディア: 文庫
 


何しろあの人が良すぎる吉田松陰さえ嘆かせたのだからただものではない。


晩年、国木田独歩が富永をモデルにして小説を書いて好評を博したのは皮肉な話だ。

 


酒好きで無茶な男といえば、同じ長州に高杉晋作がいるけれど、こちらは人間的な魅力があったのか松下村塾一党の親分になった。


晋作は間違いなくヒーローだったけど、人間の好き嫌いは激しいし、酒癖も悪かった。よっぽど馬が合わなければ付き合っていくのは難しかったろうな~。

 


それにしても、似たようなポジションにいながら、人付き合いの良し悪しで、その後の人生は大きく分かれてしまう。

 

非社交的な自分にはなんだか身につまされる話だった。

 


吉田松陰高杉晋作、二人の師弟を描いた「世に棲む日々」のサイドストーリーとしても読める。

 

世に棲む日日(一) (文春文庫)

世に棲む日日(一) (文春文庫)

 

 


【プロフィール】

嫌いなことやりたいことを回避するライフスタイルとがんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1冊)漫画を読んでいく(週50冊)。


・片道1時間の自転車通勤中
・食事はMEC食からEAA&メガビタミンへ移行。糖質制限中。
・ホットクック 1.0Lで自炊開始
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・住まいは断捨離してミニマリスト
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(特に世界史へ進攻中)

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