イタリアの伊達男を描いて定評のあったオノナツメが日本の時代劇を描き始めたときには驚いたけど、江戸時代を象徴する「参勤交代」を舞台にした漫画を描くとは思わなかった。
ミスマッチ? と思ってたけど、読んでみると、なかなかどうしてどうして面白い。
何より、参勤交代の最初から最期までをきっちり描いたフィクションは、もしかしたら、初めてなんじゃなかろうか? 少なくとも漫画では見たことがない。
備前熊田藩(岡山?)から江戸までで全5巻。まるでロードムービーを観ているようだった。
奔放で幕閣から睨まれている殿様、この参勤交代で実質デビューの若き供家老(プライド高し)、隠密、人の言うことを聞かない悍馬。
おまけに、行く手にはわがままな関白(親戚筋)、隠し子の母親? や、空を飛ぶ鳥人な元藩士などが待ち受ける。
殿様は悠々としたもので、大川は悍馬を飼い慣らして隠密に(それとは知りながら)手綱を取らせて堂々と渡る。
途中で火事があれば火事装束に着替えて消火活動へ。
参勤交代なのに、よく用意してあったもんだ――。
個人的には、文書方の苦労が身にしみた。宿に到着したら、休む間もなく連絡事項を次々と作成して、国元へ、江戸屋敷へ、送らなければならない。
殿様が気まぐれを起こせば、その都度、手紙が増えていく。夜通し仕事をして、翌朝は籠の中で揺られながら寝るしかない。
激務だなあ……。
人数は描かれてなかったが、軽く100人は超えるだろう。これだけ大勢の人数を問題なく文句を言わせず、滞りなく実行する裏方の苦労はどれほどのことだったか……。
参勤交代のクライマックスは、備前熊田藩が泊まるはずだった本陣に、伊勢参りの旗本が強引に割りこんだとき。その時の藩主の行いは胸がすくもので、街道はやんやの喝采だった。
さて、ラストシーン近く、江戸で、供家老と隠密は意外なところで再開を果たす。
少将公(殿様のこと)との旅は我らには糧(かて)となった
そうでありましょう
なかなか感動的なシーンなのだが、その直後、最期にやらかす殿様がまた爽快だ。
オノナツメの江戸時代もの。すっかり慣れた。イケるんちゃう。
考えてみれば、江戸時代の人たちって、令和時代と違ってラテン系っぽい。宵越しの銭は持たないし。
最期に、オノナツメの時代ものを二作紹介。どちらもハードボイルド――。
【プロフィール】
嫌いなことやりたいことを回避するライフスタイルとがんばらないためのライフハック がテーマ。
空いた時間はKindle読み上げで本を聴き(週1冊)漫画を読んでいく(週50冊)。
・片道1時間の自転車通勤中
・食事はMEC食からEAA&メガビタミンへ移行。糖質制限中。
・ホットクック 1.0Lで自炊開始
・服は制服化済み
・住まいは断捨離してミニマリストへ
・マンガと歴史好き
(特に世界史へ進攻中)
最近、取り組んでいるもの――。
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これから、やりたいこと――。
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