クレームをつけてくるお客さんがいる。「こうでなければならない。違うか?」とご高説を垂れる上司がいる。サラリーマンなので、いかにも「ごもっともです」みたいな顔をして、おとなしく聞いている。「勉強になります」と。
だいぶ長引いてきたな、そろそろ終わってくれないかな、と思い始めた頃に、よく聞くセリフがある。それが、「オレはこんなに、がんばっているんだ」、あるいは、「私はこんなに我慢してきたのよ」だ。
どんなに素晴らしい理想論も、どんなに理不尽なクレームも、この2つのセリフに集約されていくようだ。まあ、この2つは、結局、同じことを言ってる。これまで、ずいぶん努力してきたのに、報われなかったり、評価されなかったりしてきた。話を聞いてももらえなかったのかもしれない。やるかたない憤懣が、温泉地で見かける地熱の泡のように、ぶくぶくと噴き出ているのだ。
どうも、真面目な人ほど、熱心な人ほど、周りが見えなくなってしまうようだ。言ってることは実に正しいんだけど、実行に移すのには、それなりの手続きが必要になる。それが、どうしても理解できない。オレはこんなに素晴らしいことをやろうとしているのに、私はこんなに理不尽な目にあっているのに、あなたは、何のかんのと理由をつけて邪魔しようとしている。そう思いこんでいる。
まだ、若かった頃は、自分の方が悪いんじゃないか? と思えてしまって、悶々としたりした。でも、最近は、さすがに、そういうことはない。静かにため息をつくくらいだ。この手の人がいかに多いか、すでに、思い知ってしまっている。「熱心な人なんだけどねぇ」「前のめりなんだよねぇ」「もったいないねぇ」などのセリフ飛び交うことになる。
熱心な人はプライドが高いので、自分が、八つ当たりをしたり、嫌がらせをしているのを認めようとしない。だから、この手の人は、仕事にかこつけて、人の足を引っ張ろうとする。そして、悪いことをしているという自覚は、これっぽっちもない。あくまで自分の正義を実行しているのだ。罪悪感などカケラもないわけだ。
この手の人たちにからまれると、面倒なこと、この上ない。まともな人間なら、自分の首を絞めるようなことはしないし、割の合わないこともしない。けれども、この手の人たちは、「採算度外視」で攻撃してくるのだ。たまったもんじゃない。
こちらで出来ることは、ほとんど無い。出会わないように注意深く生活するぐらい。万が一、ばったりと出くわしてしまったら、笑顔でスルーしたい。関わり合いにならないのが一番。真っ向から反撃してしまうと「悪縁」ができるだけだ。相手は話し相手ができて嬉しいぐらいにしか思ってないのだ。
どうか、どうか、出会いませんように……。
カテゴリー紹介 #ライフスタイル
ネコのように丸くなって暮らしたい……。
特別な夢や本当にやりたいことは無いけれど、ストレスフリーで快適な毎日を過ごしたい。
人混みと満員電車と行列と渋滞と人づきあいが苦手で、インドア&地元で過ごしがち。
最近は、読書しながら旅でもしようか、ともくろんでいる。
年300万円で、コストのかからない「健康で文化的な最低限度の生活」を目指して試行錯誤中。