渡部昇一さんの本をぽつぽつと読んでいる。
晩年は右寄りの発言や、オカルトっぽい話をするようになったけど、『続 知的生活』は、今でも、自分のバイブルになっている本だ。
経済的独立をして、自由な文筆生活を送るスタイルは、ネットの時代になって、ますます輝きを増しているように思う。
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/04
- メディア: 新書
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今回は、渡部昇一さんの著書のなかから、『95歳へ!』を紹介したい。
- 作者: 渡部昇一
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2007/04/12
- メディア: 単行本
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ところで、最初に思うのは、何で95歳なの? 何が95歳なの? だろう。
これは、乱暴に要約すると、「95歳ぐらいまで生きると、人は死ぬのが怖くなくなる」「だから、楽しくボケずに健康で長生きしよう」と言うことなのだ。
死ぬのが怖くなくなる⁈
おいおい、ほんとかよ、これってオカルト本? と思ったけれど、さにあらず。
私の見るところ、九十歳を超えて亡くなられる方はあまり苦しまない。ほとんどが眠るがごとくです。「死ぬ」というより、もっといい世界に遷るという感じで、穏やかに亡くなられているのです。
渡部さんは、実際に、漢字学者の白川静さんを始め、何人もの矍鑠(かくしゃく)たる高齢者と対談し、教えてもらったノウハウを自分なりにまとめて書いている。
科学的に正しいのか、と言う問題はあるだろうけど、少なくとも自分が直接、見たり聞いたりしたことを正直に書いている。
死を恐れない境地に達する、というのは、あらゆる宗教や武道が取り組んできたけれど、特に、決定打が出なかった「問い」だ。
それをあっさりと結論してしまうのは大胆すぎるけど、一つの方向性を示したことはすごいことだ、と思う。
自分など、どうせなら、一つ、長生きしてみるか、どうせ怠け者なんだし、たいした人生送るわけでもないんだしさ、死ぬのが怖くなくなれば儲けものだ、と思ってしまった。
私は今年七七歳です。(略)今後は九五歳くらいまで生き、それまでの約二〇年間は、現在と同じような楽しい生活、活動を続け、さしたる精神修養もせずに静かに死にたいと思っています。
「さしたる精神修養もせずに」というくだりが素晴らしい。
特別なことをしなくとも、長生きすれば、95歳まで生きれば、死ぬのが怖くなくなるのなら。
それにしても、ほんとかよ? と思いながら、頭に浮かんだイメージがあった。
真田幸村の兄、真田信之は、長命で九〇歳を超えていたけれど、幕府の陰謀を何とかかわしながら真田藩を守っていた。
年を取り、日々、うつらうつらと半ば夢を見るような心地で過ごしているシーンを、池波先生はリアルに書いていた。
きっと信之は眠るように、死んでいったことだろう。
強く印象に残っていたので、渡部さんの主張も、何となく納得できる気がするのだ。
- 作者: 池波正太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1988/03/01
- メディア: 文庫
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「年をとって死ぬ人はほとんど死を恐れない聖者のごときものである」 佐藤一斎『言志耋録』
カテゴリー紹介 #ライフスタイル
ネコのように丸くなって暮らしたい……。
特別な夢や本当にやりたいことは無いけれど、ストレスフリーで快適な毎日を過ごしたい。
人混みと満員電車と行列と渋滞と人づきあいが苦手で、インドア&地元で過ごしがち。
年収300万円で、コストのかからない「健康で文化的な最低限度の生活」を目指して試行錯誤中。