『もうレシピ本はいらない』を読んで、一番、救われたのは「ワンパターンご飯」のくだりだ。
毎日、メシ、汁、漬物のバリエーションで、どんなご馳走より美味い、旅館の朝飯が美味いのと同じように美味い、ご飯が食べたくて家へ帰るのが楽しみ、と。
パターンが決まっているので、何を作るか悩む必要もなく、ほとんど同じ手順を繰り返すだけ、調味料も、塩、醤油、味噌だけの「食の断捨離」をすると、ストレスなく美味しい毎日がやってくる。
作者の稲垣さんも指摘していたけれど、あまたの料理本は完璧すぎて参考にならないことが多い。
実行するにはとてつもない努力と、それを支える体力・気力がいる。
だから、料理が嫌になって宅配ですまそう、という人も出てくる。
もっと別の道があるはずではないか? と言う疑問への回答が本書になった。
ちなみに、稲垣さんのお母さんは料理をがんばりすぎて、年齢ともに疲弊していき、おばあさんは毎日同じような地味メシを作っていたけれど充分に美味かった、というエピソードも紹介されている。
正直、ダメ家事男子から見ると、作者のワンパターンご飯でさえ高度に感じるし、掲載されている写真はどれも美しいものばかりだ。
玄米を食べているし、ぬか漬けまでやっている。
ストウブやダッチオーブンなどの料理道具も使っているし、食器類も、なんだか、かっこいいのである。
それでも、このぐらいで充分に美味しい毎日が送れるんだ、と言い切ってくれた本は、今まで無かった。
かなり、ハードルを下げてくれたのだ。
実際、Amazonのレビューを読むと、「こんな程度で満足できるのか」、「汚料理だ」などと辛辣な意見もある。
いったい、どれだけ、がんばらなきゃいけないんだろう。
「これぐらいはやらなきゃ」と言いつつ、外食が増えてるのが実情ではなかろうか。
実を言うと、自分も、毎日、稲垣さんよりもさらにワンパターンなご飯を自炊して食べ続けている。
・肉と米は炊飯器調理
・野菜は塩麹漬け・酢麹漬け
・サイドメニューで生卵、納豆、大根おろし&紅葉おろしなど
・自家製どぶろく
基本、食器はどんぶりとマグカップとハシで完結してしまう。
けれど、食生活は充実していると感じているし、めったに外食しなくなった。
ただ、人から見ると粗食に思われるだろうし、こんな食生活をしていると、おおっぴらに人に言ったことも無かった。
そんなダメ家事男子にとって、本書は、まだ、高度ながら、ロールモデルになりそうで、ありがたい。
「それでいいのだ」と言われたみたいな。
限界ハウス、ダメ家事男子。プロフィール
空き家一歩手前の限界ハウスで「健康で清潔な最低限度の生活」を目指し、ストレスフリーな毎日を目指して試行錯誤中のへなちょこ家事男子。
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