バイキングの物語ということで、海での戦闘ものだと思っていたけれど、ちょっと違っていた。
主人公のトルフィンは、実在の人物をモデルにしたようだが、戦のない平和な国を作ろうとして北アメリカへ開拓に行った。
なんで平和な国を作ろうとしたかというと、後に絶望するほどに、どっぷりと戦にはまって父の敵の復讐に燃えていたけれど、果たせず目標を見失ってしまったからだ。
それではるか西にあるという平和の地、ヴィンランド(草原の地)をめざす。
今回は21巻までを一気読みしたが、ヴィンランドを目指す旅に出たものの、途中に、昔のしがらみに巻きこまれてなかなか旅が進まないところだ。
さて印象に残ったのは、旅に出る前に主人公やバイキングたちがイギリスで暴れ回っていた頃の話だ。
バイキングと言えばイコール北欧だけど、むしろバイキングたちがイギリスに侵入していく話だと受け止めた。
どうもイギリスと言うと日本と同じ島国なので、日本と同じように考えやすい。でもイギリスをイギリスと呼ぶのは日本だけのようで、実際はグレートブリテン連合王国、つまりいくつかの国の寄せ集めだ。アメリカ合衆国を USA というように、イギリスのことは UK と呼ぶのが世界的には普通らしい。
元々イギリス本島に住んでいた、アメリカで言えば、ネイティブアメリカンみたいな民がウェールズ。このウェールズはゲルマン人の大移動で西に追いやられた。
侵入してきたゲルマン人はアングロサクソン人。これがイングランドになっていく。
時代が下がってバイキング達、今のデンマークになるデーン人たちがイングランドに侵入して北海帝国を作ったりする。このリーダーがクヌート一世。「ヴィンランド・サガ」でも重要人物として登場する。7巻で表紙になってるこの人――。
戦うことだけが絶対の価値観で、勇敢に戦って死ねばヴァルハラへ行けて、またさらに思う存分戦い続けることができる。何事も生み出すこともなく、ひたすら戦いに明け暮れる。そんなバイキングたちの生態も面白かったけれど、自分の場合、どちらかといえばイギリスがどんな風に出来上がっていくのかという感じで、こちらの方が印象深かった。
最近ではあまり聞かなくなったけれど、以前はイギリス国内でしょっちゅうテロ事件が起きていたし、テロ事件のことをあまり聞かなくなってからは、フーリガンが小競り合いを起こすようになったし、最近では EU から離脱するしないで揉めている。いつまでたっても解決しそうにない。サッカーやラグビーのワールドカップだって、イングランドやスコットランドやアイルランドなど単独のチームで出場してくる。
なんでこんなにまとまりがないんだろう?
不思議でしょうがなかったけれど「ヴィンランド・サガ」を読んでからは、なんとなく納得できるような気がしてきたのである。
ほぼ一つの島国でほとんど単一民族できた日本とは違って、何度か異民族の侵攻があった連合王国ではなかなかまとまるのは難しかろう。
ここにカソリックやプロテスタントやイギリス国教会など宗教がからんでくると、もはやまとまる話もまとまらないという感じだ。
そんなわけで「ヴィンランド・サガ」を読んで、なぜかイギリスを身近に感じるようになった。これからはイギリスの歴史ものも読んでいこうと思っている。
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なんだか堅苦しい話になってしまったかもしれないけれど、「戦いこそ我が人生」な魅力的なバイキング=ベルセルクも登場するし、戦闘シーンは迫力のあるものばかり。「のっぽのトルケル」が実在の人物だったとは驚いたなぁ。後ろに立ってる人です――。
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