山路を登りながら、こう考えた。 智に働けば角が立つ。 情に掉させば流される。 意地を通せば窮屈だ。 とかくに人の世は住みにくい。
漱石センセイの時代から、もう、すでに「住みにくい」世の中だったのだ。
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ひるがえって今ーー。
さらに世知辛い世の中、生きづらい時代になってるんじゃなかろうか。
世間の人々は、世間体を良くすることや自己PRに余念がない。
そのために余計な仕事を増やしていくし、きちんと、手作りで、ていねいに、とプレッシャーをかけてくる。
がんばれ、と無責任にあおる人がいて、がんばらなきゃ、と自分を追いつめる人がいる。
とてもじゃないけど、ついて行けない、とネットへ避難した、避難したつもりだった……。
ネット界ではネット界で、別のロジックが渦巻いていた。
「没頭しろ」
「本当にやりたいことをやれ」
「好きなことをやれ」
「オンリーワンになれ」
承認欲求にあふれた人たちは、評価経済の覇者たらんと余念がなかったのだ。
ここでも、ついて行けないものを感じてしまう。
まさに、身の置き所がない感じだ。
第三の道はないもんだろうか?
そんな中で、細々とブログを書き続けた。
そして、書くことで、嫌でも考えるハメになる。
どうやら、自分には、何かに没頭できるようなエネルギーも多動力も無いようだ。
本当にやりたいことも無いようだ。
特別、好きなことも無いようだ。
自分にしかできないことも無いようだ。
無い無い尽くしであるーー。
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気づいた時には、ちょっと落ちこんだ。
でも、薄々わかっていたことだ、と今なら言える。
その一方で、こうも思ったーー。
別に、夢や目標や生きがいや取り柄が無くても、良いんじゃないか?
毎日を、快適に、機嫌よく暮らしていければ、もう、それで十分なのでは? と。
けれども、このような考え方は、世間でも、ネットでも、あまり支持されないようだった。
だったら、自分が声を上げればいいのでは?
それを「自分がやりたいこと」にしてはどうだろう。
自分の人生を賭けてまでやりたい、とまでは強く思えないけれど、少なくとも、暇つぶしにはなる。
「手慰(なぐさ)み」「手遊(すさ)び」になれば、それで十分なのではないか。
こんなことを思うようになった。
自分でも意外な展開だったけれど、ブログを書き続けてなければ、気づかなかったことだ。