『かりん歩(ぽ)』は、喫茶店を継ぐ姉・かりんと妹・くるみの「姉妹さんぽ」マンガだ。
地理がテーマになっていて、名古屋の街ネタ、歴史ネタがふんだんに出てくる。
登場人物は地理学の関係者が多くて、『高杉さん家のおべんとう』のスピンオフ作品でもある。
おもしろかったのは、このマンガの登場人物たちは、ふつうのマンガのように、夢を追ったり、好きなことを一直線に追いかけたりしないのだ。
例えば、主人公の姉・かりん。
彼女は、祖父の喫茶店を継いだけれど、別に夢だったからではなく、「楽しそうだったから なんとなく」始めた。
この点、自分で店をするのが夢の友人をキリキリさせたりしている。
わたし 夢って持ったこと ないのですよ
ゴールを目指して駆け抜けて行く人もいれば
目の前に現れた景色を慈しみながら歩く人もいるって
また、『高杉さん家のおべんとう』で主人公カップルだった、ハルと久留里。
二人は『かりん歩』にも登場している。
久留里は女子アナとなり、誰もがうらやむ大きな仕事に抜擢されそうになるけれど、彼女は、おそらく断る。
これ以上、二人の時間が減るのがイヤだから。
すごく光栄で、誰もが目指す仕事を断って良いものか悩む久留里にハルは言う。
夢は 義務じゃないよ
マンガの世界で、夢や好きなことを追いかけるより、日常生活や周りの人たちとの交流を大切にしたい、と思うキャラクターが登場するようになったのか、と驚いた。
おおげさかもしれないけど、時代は変わったなあ、と思った。
このマンガのテーマは「スローダウン」で、キャラたちは「ダウンシフターズ」じゃないか、と思うのは深読みしすぎだろうか。
同時に、中国の孔子の言葉も思い出した。
これを知る者はこれを好む者に如(し)かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如(し)かず。
超訳すると、努力してる人間は、好きでやってる人間に敵わないし、好きでやってる人間は、楽しんでやってる人間に及ばない、てところだろうか。
自分の場合、特別に好きなことや、やりたいことがないことがコンプレックスだったりするけれど、毎日を快適に機嫌よく過ごせたら、と思っている。
そんな人間にとって、『かりん歩』は、背中を押してくれる作品なのだ。
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