オノ・ナツメはイタリアものを描く作家で、時々、ボーイズラブも描いているようだ。
彼女の絵は独特で、見るたびに、なぜか影絵を連想してしまう。
イタリアの空気に合っていると思ってた。
だから、いきなり江戸ものを描き始めたのにはびっくりした。
しかも、意外にハマっているのに、二度びっくり、だ。
オノ・ナツメは『COPPERS』(カッパーズ)で、ニューヨークものも描いている。
技量があって、幅広い作品が描けるって言っちぁあそれまでだけど、イタリアと江戸って、けっこう雰囲気が似ているのだ。
「江戸っ子は宵越しの銭は持たねぇ」なんて、モロにそう。
江戸っ子ってラテン系だったの?
現代の日本人はどう見ても生真面目なゲルマン系なんだけど。
そういえば、浮世絵を見れば一目瞭然だけど、江戸っ子は性にもおおらかだったようで、イタリア男達のナンパを笑えない。
江戸っ子も、歌舞伎や相撲や花火を大いに楽しんでいて、イタリア人の「mangiare(食べて)cantare(歌って)amore(恋をして)」と相通じるところがあるようだ。
ファッションだって、現代ではちょい悪風のイタリア男ばかりがもてはやされてるけど、着物の裏地に金をかける江戸っ子だって負けていなかったように思うのだ。
このあたりは、池波正太郎の『鬼平犯科帳』、『剣客商売』、『仕掛人・藤枝梅安』あたりを読むと、江戸っ子ハードボイルドが良くわかる。
昔の日本人はかっこ良かったのだ。
戦争に負けて、すっかりアメリカナイズされてから妙なことになってしまったけど、あのまま江戸スタイルが続いていたら、どうなってたかなあ、と思うことがある。
「SF人情なんちゃって時代劇コメディー」の『銀魂』が大人気なのも江戸時代へのノスタルジーと言ったら言いすぎだろうか。
あとがき
オノ・ナツメ以外にも、長年、アメリカものを描いていた成田 美名子が、日本の古典芸能である「能」を舞台にしたマンガを書き始めたり、アジアを舞台にしたマンガがユニークだった深谷 陽が戦国時代ものを描いたりしている。
そして、どちらも意外にハマっている。 長年、海外ものを描いてきた作家ほど、日本の良さを再発見するんだろうか?
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