吉本ばななさんの『人生の旅をゆく 3』を読み終わったとき、なぜか『パームシリーズ』の主人公、ジェームス・ブライアンのセリフを思い出した。
人間は運命を変えられないけれど、運命をどう解釈するかによって、運命を乗り越えていく、てな感じのセリフだった。
以前、吉本ばななさんのエッセイは「おばあちゃんの知恵」のようだ、と書いたことがある。
ヘタなビジネス本やハウツー本を読むよりも、生きづらい毎日が少しだけ楽になるような気がするのだ。
突然の死、別れや、自分にはどうにもできないような理不尽なことを、どのように受け止めて生きてゆくか、このエッセイには、そのための知恵がつまっている。
そして、その知恵は、当たり障りのないきれい事ではなくて、ばななさんの体験から掘り起こされたものなので説得力がある。
異国で迎えざるを得なかった父親の死、姉が大好きだった母の死、間もなく別れが近づいてきた老いたペットと過ごす時間、生まれつきほとんど見えなかった左目のこと。
解釈という知恵で、どのように乗り越えてきたかが、ばななさんのエッセイには盛り込まれているのだ。
ちなみに、『パームシリーズ』も始まってから30年以上にわたる大河ドラマだ。
いよいよ最終章に入って、読みたいような、読んでしまうと終わってしまうので読みたくないような、複雑な気分。
ラストシーンや登場人物のその後は、すでに描かれていて、一見、悲劇に見えるクライマックスへ向かって疾走中だ。
主人公たちが、どのような解釈で運命を乗り越えていくのか、こちらも楽しみだ。
ちなみに、『パームシリーズ』の最終章のタイトルは「タスク」。
人は幸せになる義務があるーー。
ばななさんとは、やっぱり通じるところがあるような気がする。
ばななさんもマンガ好きだしね。
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