歩いているとき、左手に違和感を感じた。
何だろう、としばらく考えていたら、ハンカチを忘れていたことに気づいた。
ハンカチはスラックスの左前ポケットに入れている。
いつもより、ふくらんでいない、と身体が察知したわけだ。
ようやく、ハンカチを持ち歩く習慣が、身体に染みこむまで来たんだなあ、と感慨深かった。
ここまで来るのは長い道のりだった……。
成人男子の中で、ハンカチを持ち歩く習慣を持っている者はどれぐらいの割合になるんだろう。
トイレに入ったあと、ちゃんと手を洗う男子の割合は?
少なくとも、自分の場合、長い間、トイレのあとも手を洗わなかったし、ハンカチを持ち歩く習慣もなかった。
たまに手を洗うと、手を振って水を切って終わりだった。
脇の下や、ヒザ裏に手を挟んでふき取ったこともあった。
ただでさえ、汗をかいて雑菌が発生しやすいところなのに、いったい何やってんだか、と言う話だ。
ハンカチを持つようになってきたのは、花粉症になって、鼻うがいをやるようになってからだった。
トイレに行く度に、ついでに、洗面所で鼻うがいをする。
手で水をすくって鼻から吸い、鼻から出す。
花粉症は、鼻が詰まるタイプだったので切実だった。
手がびしょびしょになるので、ハンカチは必需品となった。
でも、花粉症シーズンが終わってしまうと元に戻ってしまったし、何度も鼻うがいをしていると、ハンカチがびしゃびしゃになってしまうのが嫌だった。
ようやく、習慣になってきたのは、ワッフル地のハンカチを使うようになってからだ。
吸収性が良く、びちゃびちゃにならなかったし、速乾性で、洗濯したあとの乾きも速かった。
ガーゼタイプも使ってみたけど、水を吸ったまま重くなってしまうので、こちらは長続きしなかった。
ハンカチを入れる場所も、試行錯誤の上、左前ポケットに固定するようになった。
同じハンカチを何枚かそろえて、使っていても使わなくても、毎日の洗濯物と一緒に洗濯し、毎日新しいハンカチで手をふく。
いったん習慣になってみると、快適この上なかった。
手が濡れたままでいると、気持ち悪いとさえ、思うようになった。
今では、うっかり忘れた時に備えて、職場には「置きハンカチ」も常駐させている。
男子には、ハンカチを持ち歩く習慣をつけることをオススメする。
最初は、めんどくさいけど。
とても、めんどくさいけど。
限界ハウス、ダメ家事男子。プロフィール
空き家一歩手前の限界ハウスで「健康で清潔な最低限度の生活」を目指し、ストレスフリーな毎日を目指して試行錯誤中のへなちょこ家事男子。