らくだのライフハック

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─セミリタイアして本とマンガの日々─

ちょうどいいかげん発酵術:発酵と腐敗の人類史的考察について

「発酵と腐敗は紙一重」とは、発酵本を読むと、たいてい書かれているセリフです。

発酵させている時、少しでも腐臭を感じたら、もったいなくても「あきらめる」がセオリーになります。

自分も何度か、いや、何度も失敗してきました。

幸い、お腹を壊したことはありません。

それでも、一歩手前まで行ってしまったことがあります。

ヤバい、とわかっていながらズルズルと深みにハマりそうになった。

そんな時のことを書いてみます。

 

白菜の塩麹漬けを作っていました。

白菜を切って、塩麹をかけて混ぜて、あとは放置するだけ。

簡単で美味い。

言うことないシロモノです。

まぁ、発酵食品はたいていがそうなんですが。

 

白菜は基本的に浅漬けが好きなんですが、その時は仕事が忙しくて、一ヶ月ぐらい放置してしまいました。

さすがにマズいな〜と思いながらフタを開けたら、のけぞるような匂いが……。

いつもなら「即」コンポストへ、なんですが、かなりの量を漬けこんでいたので、ちょっともったいないなあって思ってしまったんですね。

 

一つ、つまんで、ひと舐めしてみました。

意外に味は変でもありません。

容器に顔を近づけて、もう一度匂いを嗅いでみます。

さっきのような腐った匂いはしませんでした。

思いきってひとかけら食べてみます。

これくらいなら、いきなりゲリすることもないでしょう。

 

食べてみると案外フツーの白菜塩麹漬けでした。

そして、かすかに舌がピリッとする感触があります。

ふうむ。

続けて食べます。

確かにぴりぴりきております。

フグは毒がちょっと残っていて、ぴりぴりするくらいが美味い、という話を聞いたことがあります。

こんな感じだろうか、などと思いながら食べてしまいました。

 

二日目、三日目あたりになると、舌がぴりぴりからビリビリになってきました。

シビれる感じが、ちょっとステキです。

「こんなのミシュラン三ツ星店でも食えないよな」てところが、またシビれます。

だんだん思考もヤバい方向へ向かっていくのが自分でもわかります。

残念ながら、撤退することになりました。

改めて、「ちょっとでも腐ってそうなら潔くあきらめる」を自分に言い聞かせます。

 

思えば、過去にも、自分のような人間はいたんでしょうね。

腐ってるようだけど、何となく大丈夫そうなので食べてみたら意外とイケるし、腹も壊さない。

次も同じように試してみて、三度やって大丈夫なら人に勧めてみる。

こんな風にして、新しい発酵のやり方が広まっていく。

もちろん、その影には、腹を壊した人や、場合によっては命を落とした人も大勢いたのでしょう。

自分も大きな歴史の流れの中にいることを感じさせます。

 

まぁ、そんな「発酵の人類史」みたいなことは、どうでもよくて、くれぐれも「ヤバそうだと思ったら食べない!」が大原則です。

重ねて自分に言い聞かせておきます。

 

ちょうどいいかげん発酵術プロフィール

花粉症対策がきっかけで「発酵」にハマりました。常時製作中なのは、①豆乳ヨーグルト、②野菜の塩麹漬け、③豆乳塩麹、④酢麹、⑤甘酒、⑥どぶろく。手を出さないようにしてるのは、①ぬか漬け、②自家製納豆、③自家製味噌。このブログは「めんどうなことが死ぬほど嫌い」な人に捧げます。